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26 燃える柴 「モーセの生涯〈2〉」|キリスト教美術をたのしむ 金沢百枝
【図4】 「燃える柴」 サン・ヴィターレ聖堂 ラヴェンナ 6世紀
【図4】 「燃える柴」 サン・ヴィターレ聖堂 ラヴェンナ 6世紀

 神の顕現という重要な場面なので、古代から多くの作例があります。現存最古はドゥラ・エウロポスのシナゴーグの壁画(3世紀)です。5、6世紀のローマでも、サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂のモザイク壁画や、サンタ・サビーナ聖堂の木彫扉などに見られます。ラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂でも、若いモーセがサンダルを脱いでいる場面があります【図4】。ここで燃えているのは丈の低い草ですが、その後ドイツやフランスでは灌木として描かれるようになりました。

【図5】 「燃える柴」 アーンシュタイン修道院 ステンドグラス ミュンスター 1170-80年頃 美術文化史博物館蔵
【図5】 「燃える柴」 アーンシュタイン修道院 ステンドグラス ミュンスター 1170-80年頃 美術文化史博物館蔵

 【図5】はドイツ最古のステンドグラスで、右側の木のてっぺんが燃え上がり、炎のなかからキリストがひょっこり顔をのぞかせています。モーセの手にした杖は、もう蛇に変わっています。余談ですが、アーチの部分にステンドグラスの作り手の自画像と署名があるのもおもしろい。

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