見学中、一番盛り上がったのは大浴場だ。大きな温泉旅館のそれと同じくらい広く、壁一面ガラス張り。大海原を眺めながらいつでも湯に浸かれる。ドライとミストのサウナ付き。タオルも使い放題と、かゆいところに手が届いてる。
一通り見るのに1時間以上費やし、ランチに案内されたのは13時半頃。いやあ疲れた。喉もカラカラ。皆席に着くなり即ドリンクを注文して飲み干していた。途中飲み物が出ても良さそうなもんだが。トイレが近い年寄りにそれをやると、大変なことになるのを見越してたのか。さすが手練れの飛鳥II。知らないけど。
とまれ、空腹は最良の調味料ということで、皆さんトシの割には結構よく飲みよく食べていた。メニューはフレンチのコースだが、奇をてらった品はなく、量も無難。メインの牛ロースの網焼きは、程良くサシが入り、入れ歯にも安心な柔らかさ。席は好きな場所を選べるので、各自テーブルをまたいで会話が弾み、あっという間に社交場状態になっていた。「今年の梅の会は花がなくて寂しゅうございますね」「あら、先日のあのホテルのヘアショー、あなたもいらしてたの?」「コンソメは淡路島の玉ねぎで作るのが一番よ」。……むぅ。三島由紀夫の小説か。会話のダンジョンが完全に富裕層でついて行けん。よく見ると、地味に見えるコートの裏地にさりげなくルイ・ヴィトンのロゴがあったり、身に付けてる宝石の大きさがチュッパチャップス並みだったり。わー。逃げろー。いや、逃げなくても、誰もダンジョン違いの私たちには話しかけない。「ご取材ですか?」って一緒に回ったおじいさんにズバリ聞かれちゃったしさ。客にバレてるくらいだから、スタッフはとうにお見通しだろうて。
食事を終えて下船前の「質問・申し込みコーナー」では、早速申し込んでる人がチラホラ。どうせバレてるんだし、ついでにスタッフの人にいろいろ聞いてみる。車いすでも杖でも参加可。糖尿病向けメニューもアリ。持病があっても、医師のOKが出ていて、身の回りのことが自分で出来るなら、例え末期ガンの人でも乗船できる。万が一の場合は、霊安室も完備。いやー、安心だこと。
長旅になればなるほど日本食のメニューが豊富になり、チップも不要。そして何より、客の9割9分が日本人という安心感。日本の年寄りが求める旅の全てがここにある。あと必要なのは金だけだ。
つっても、常に一番高いロイヤルスイートから予約が埋まるというから、あるところには金はあるのだ。世界一周だと約2500万円也。先日またこの部屋に、リピーターでおなじみの脚本家・橋田壽賀子先生のお申し込みがあったそうな。船上で死亡の場合は、一律2500万円の死亡補償金も確約。てことは、行って来いでチャラですね。先生、そして富裕年配層の皆さま、安心して行ってらっしゃいませ! ……私は二度とお目もじすることはございません。
一通り見るのに1時間以上費やし、ランチに案内されたのは13時半頃。いやあ疲れた。喉もカラカラ。皆席に着くなり即ドリンクを注文して飲み干していた。途中飲み物が出ても良さそうなもんだが。トイレが近い年寄りにそれをやると、大変なことになるのを見越してたのか。さすが手練れの飛鳥II。知らないけど。
とまれ、空腹は最良の調味料ということで、皆さんトシの割には結構よく飲みよく食べていた。メニューはフレンチのコースだが、奇をてらった品はなく、量も無難。メインの牛ロースの網焼きは、程良くサシが入り、入れ歯にも安心な柔らかさ。席は好きな場所を選べるので、各自テーブルをまたいで会話が弾み、あっという間に社交場状態になっていた。「今年の梅の会は花がなくて寂しゅうございますね」「あら、先日のあのホテルのヘアショー、あなたもいらしてたの?」「コンソメは淡路島の玉ねぎで作るのが一番よ」。……むぅ。三島由紀夫の小説か。会話のダンジョンが完全に富裕層でついて行けん。よく見ると、地味に見えるコートの裏地にさりげなくルイ・ヴィトンのロゴがあったり、身に付けてる宝石の大きさがチュッパチャップス並みだったり。わー。逃げろー。いや、逃げなくても、誰もダンジョン違いの私たちには話しかけない。「ご取材ですか?」って一緒に回ったおじいさんにズバリ聞かれちゃったしさ。客にバレてるくらいだから、スタッフはとうにお見通しだろうて。
食事を終えて下船前の「質問・申し込みコーナー」では、早速申し込んでる人がチラホラ。どうせバレてるんだし、ついでにスタッフの人にいろいろ聞いてみる。車いすでも杖でも参加可。糖尿病向けメニューもアリ。持病があっても、医師のOKが出ていて、身の回りのことが自分で出来るなら、例え末期ガンの人でも乗船できる。万が一の場合は、霊安室も完備。いやー、安心だこと。
長旅になればなるほど日本食のメニューが豊富になり、チップも不要。そして何より、客の9割9分が日本人という安心感。日本の年寄りが求める旅の全てがここにある。あと必要なのは金だけだ。
つっても、常に一番高いロイヤルスイートから予約が埋まるというから、あるところには金はあるのだ。世界一周だと約2500万円也。先日またこの部屋に、リピーターでおなじみの脚本家・橋田壽賀子先生のお申し込みがあったそうな。船上で死亡の場合は、一律2500万円の死亡補償金も確約。てことは、行って来いでチャラですね。先生、そして富裕年配層の皆さま、安心して行ってらっしゃいませ! ……私は二度とお目もじすることはございません。
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ロイヤルスイート室内のウォークインクローゼットつってたが、最上級のロイヤルスイート(88.2㎡)まで見ると、すっかり最初の部屋じゃ物足りなく。ウォークインクローゼットだけで一番安いKステートのベッドルームと同じくらいの広さ。トイレも四畳半くらいあった。Kステートは、船内で形見が狭そうだな。Kステートにも乗れない人間が言うのもアレだけど。一緒に回ったグループの人は、「はぁ~」「へぇ~」と、もう溜め息のみ。
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船内は何でも食べ放題だが、この寿司店だけは別料金だそうな。説明係のお姉さんの「銀座のお寿司屋さんなんかと比べると、かなりお安いですよね」の「よね」の部分が絶妙。そう言われたら「そうですね」ってなっちゃうけど。まだ吸い取るか。