またヨセフは、太陽と月と11の星が自分にひれ伏しているという夢も見ました。兄弟ばかりでなく、父のヤコブや母をも支配するというお告げです。14世紀ユダヤ教写本『ゴールデン・ハガダー』では、ふかふかのベッドに眠るヨセフの背景に、麦束がお辞儀するようすが金地に浮かび上がり、太陽と月もあります【図6】。
異母兄たちはいっそうヨセフを憎み、殺す計画を立てます。荒野で羊の群れを追っていた兄たちのもとへ、父の遣いでやって来たヨセフ。これ幸いと、その豪華な衣をはぎ取り、ヨセフを深い穴に投げ入れました。殺そうか、奴隷商人に売り渡そうか。算段している間に、隊商が通りかかり、ヨセフはエジプトへ奴隷として売られてしまいました。兄たちは自分たちの謀りごとを隠すため、ヨセフの衣に山羊の血をつけて父に渡し、ヨセフは野獣に喰われたと偽りました。
14世紀ロンドンで制作された『メアリー女王の詩篇集』は優雅な挿絵で知られる豪華写本です【図7】。籠をもってお遣いにだされたヨセフが兄たちにボコボコに殴られています。淡い色合いだからか、凄みはありません。
エジプトに売られたヨセフは、ファラオの侍従長を務めるポティファルの奴隷になります。有能だったのでやがて財産管理を任せられるまでに出世しました。ポティファルは食い気ばかりの男だったのに対して、「ヨセフは顔も美しく、体つきも優れていた」ので、ポティファルの妻はヨセフに目をつけました。「わたしの床に入りなさい」と毎日言い寄られても、拒み続けたヨセフでしたが、とうとうある日、他の使用人がいない時、妻はヨセフの着物をつかんでベッドへ誘いました。もちろん、ヨセフは靡きません。するりとかわして、彼女の手にマントを残したまま去りました。自尊心を傷つけられたポティファルの妻は、ヨセフに暴行されそうになったと嘘の証言をして、ヨセフを投獄させたのでした。
【図6】 「ヨセフの夢」 『ゴールデン・ハガダー』 スペイン北部 1320年頃 大英図書館蔵
異母兄たちはいっそうヨセフを憎み、殺す計画を立てます。荒野で羊の群れを追っていた兄たちのもとへ、父の遣いでやって来たヨセフ。これ幸いと、その豪華な衣をはぎ取り、ヨセフを深い穴に投げ入れました。殺そうか、奴隷商人に売り渡そうか。算段している間に、隊商が通りかかり、ヨセフはエジプトへ奴隷として売られてしまいました。兄たちは自分たちの謀りごとを隠すため、ヨセフの衣に山羊の血をつけて父に渡し、ヨセフは野獣に喰われたと偽りました。
【図7】 『メアリー女王の詩篇集』 ロンドン 1310-1320年頃 大英図書館蔵
14世紀ロンドンで制作された『メアリー女王の詩篇集』は優雅な挿絵で知られる豪華写本です【図7】。籠をもってお遣いにだされたヨセフが兄たちにボコボコに殴られています。淡い色合いだからか、凄みはありません。
エジプトに売られたヨセフは、ファラオの侍従長を務めるポティファルの奴隷になります。有能だったのでやがて財産管理を任せられるまでに出世しました。ポティファルは食い気ばかりの男だったのに対して、「ヨセフは顔も美しく、体つきも優れていた」ので、ポティファルの妻はヨセフに目をつけました。「わたしの床に入りなさい」と毎日言い寄られても、拒み続けたヨセフでしたが、とうとうある日、他の使用人がいない時、妻はヨセフの着物をつかんでベッドへ誘いました。もちろん、ヨセフは靡きません。するりとかわして、彼女の手にマントを残したまま去りました。自尊心を傷つけられたポティファルの妻は、ヨセフに暴行されそうになったと嘘の証言をして、ヨセフを投獄させたのでした。