アート

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魂のかたち 「人間の創造」|キリスト教美術をたのしむ 金沢百枝
 一般的な魂の表現は、小さな裸ん坊。上述のナポリの写本挿絵はこのタイプです。この創造主、どこまで面倒くさがりだったのでしょう。

「命の息を吹き入れる」 クリストフォロ・オリミナ ペトルス・ロンバルドゥス『命題集』 ナポリ 14世紀 ヴァチカン教皇庁図書館蔵
「命の息を吹き入れる」 クリストフォロ・オリミナ ペトルス・ロンバルドゥス『命題集』 ナポリ 14世紀 ヴァチカン教皇庁図書館蔵

 威厳を保つためなのか、玉座から降りることなく、アダムを跪かせ、口をあーんと開けさせると、裸んぼを口の中へ送り込んでいます。

 魂のかたちには、その他に「小鳥」や「光線」、「火」の束などもあります。そういった「もの」ではなく、アダムの「動き」によって魂の注入を表現する場合もあります。ミケランジェロがヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画に描いた「人間の創造」場面もそのひとつ。創造主とアダムの手と手が触れそうで触れない距離の微妙さが見事で、エネルギーの漲りを感じます。

 わたしが一番好きなのは、12世紀の修道女ビンゲンのヒルデガルトが書いた本の挿絵。創造主は生まれたばかりのアダムをそっと抱き寄せ、口づけしています。

「命の息を吹き入れる」 『ビンゲンのヒルデガルトの祈祷書』 ドイツ 12世紀 ミュンヘン州立図書館蔵
「命の息を吹き入れる」 『ビンゲンのヒルデガルトの祈祷書』 ドイツ 12世紀 ミュンヘン州立図書館蔵

オマケ
小鳥型の魂はこんな感じ

「命の息を吹き入れる」 『パンテオンの聖書』 ローマ周辺 1125年 ヴァチカン教皇庁図書館蔵
「命の息を吹き入れる」 『パンテオンの聖書』 ローマ周辺 1125年 ヴァチカン教皇庁図書館蔵

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