ゴシック期のユダヤ教写本『黄金のハガダー』【図4】の構図も、先のステンドグラスと似ています。一心不乱に逃げるロトたち。マンガ風な描写が特徴的な『サラエボ・ハガダー』【図5】では、下半身が塩の岩になったロトの妻が哀れです。白髪のロトが小さな娘たちを「さ、いこいこ」とせかしているのもさみしい。
イスラーム教では、ロトは預言者です。キリスト教やユダヤ教と違って、ソドムの滅亡を預言し、人々に改悛を訴える重要な役目です。町の滅び方もまったく異なります。天使が自分の翼に町を乗せて飛び、天からつき落とすのです。赤ちゃんの眠るゆりかごも真っ逆さま! その時たまたま町を留守にしていた悪人も、天からの落石に襲われました。
【図5】 「ロトの妻」 『サラエボ・ハガダー』 バルセロナ 1350年頃 ボスニア・ヘルツェゴビナ国立図書館蔵
【図6】 「ソドムの崩壊」 『預言者の書』 ペルシア 1577年 ベルリン州立図書館蔵
イスラーム教では、ロトは預言者です。キリスト教やユダヤ教と違って、ソドムの滅亡を預言し、人々に改悛を訴える重要な役目です。町の滅び方もまったく異なります。天使が自分の翼に町を乗せて飛び、天からつき落とすのです。赤ちゃんの眠るゆりかごも真っ逆さま! その時たまたま町を留守にしていた悪人も、天からの落石に襲われました。