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  • [著者]今井舞
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劇団のシニアコース|イマイマイズム見聞録[第9回] 今井舞「新潮45」12年11月号
 塹壕を歩いて受付に到着する頃には、すっかり正気に。帰りしな、事務員の人からパンフレットを渡される。だがそこには肝心の「授業料」が書いてない。これはネットにも全く書かれていなかった。「授業料って、おいくらなんですか?」と直球で尋ねると、「まずオーディションを受けていただいて、合格したら、入会金15万円をお支払いいただきます」。……じゅうごまん、ですか。「その中には、月額2万1000円のお月謝3か月分と、年に一回撮る宣材写真の撮影料2万8000円も含まれてますので」。でも、……じゅうごまんですか。「分割もできます」。……そうですか。
 レッスンは演技だけでなく、日舞やバレエなどのダンス、ボイストレーニングなどがルーティンで組まれ、幅広く学べる。オーディションに受かれば、TV・CM他、年数回ある東俳主催の公演にも出演のチャンスあり。通っている生徒さんは皆仲が良く、週一のレッスン後は毎回のようにお茶して帰ったりしている。いろいろ利点を挙げられるが、最初に入った「15万」というアッパーカットが効いて、何も頭に入って来ない。
 最後に、なぜ見学が30分間なのか尋ねてみると「高いお月謝を払っているのに、それを人にタダで見せるのはどうか、という生徒さんの声がありまして」とのこと。一応全員「高い」という自覚はあるんだな。
 ま、「15万払って北島マヤ気分に浸りたい」という客がいる限り、「15万もらって北島マヤ気分に浸れる場を提供する」はビジネスとして成立する。余人がとやかく言う権利はない。実際私も北島マヤ気分味わったし。タダだけど。
 塹壕を出たら嵐はまだで、帰ると同時にひどくなった。見学時間が30分で本当によかった。あそこに120分ずっといたらと思うと、いろんな意味ですごく怖い。

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