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  • [著者]今井舞
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創価大学オープンキャンパス|イマイマイズム見聞録[第3回] 今井舞「新潮45」12年5月号

 メインイベントでヒートアップ

 最初に登場したOB・OGが、挨拶代わりに「この中で、北海道からいらした方~」と客席に呼びかけると、場内からパラパラ拍手が。「九州の方~」「関西の方~」「首都圏の方~」と一通りコール&レスポンスが終わると、最後に「東北の方~」の声に応える小さな拍手が。その直後、割れんばかりの大拍手が会場を包む。この高揚感、一体感。信仰を同じくする者が集っているという安寧で、場内がヒートアップしていくのがわかる。
 チアリーディングやジャズダンス等、拙いクラブ活動の披露の合間に、在校生たちが口々に「世界一の創価大学へようこそ!」と叫ぶ。根拠など不要。「世界一」と信じる、その心さえあればいいのだ。
 在校生による「創価大学に入るためにこんなに頑張った」、卒業生による「創価大学を出たからこんないいところに就職できた」という体験談、学長の「東大よりも、コロンビア大よりもすごい創価大学」という講話で、針小棒大に「池田先生のお導きの素晴らしさ」を骨の髄まで分かち合ったところで、「では合唱しましょう!」と校歌が流される。限りなく軍歌に近い旋律にのせ、壇上の巨大モニターに、歓喜に沸く学生に手を振る池田先生、エラい人たちと握手する池田先生、力強く演説する池田先生の映像が。客席は、一緒に歌うというより、うっとり心酔している感じ。何かこう、違う国に来たみたい。

無料の傘配布に笑顔の、善意の人々。嗚呼ありがたや。
 プログラム終了後、出口に向かうとあいにくの雨。何とそこで客全員にビニール傘が配られている。しかも使いさしではなく新品。これには「さすが」「すごい」という声があちこちで上がっていた。私もそう思った。皆さんとは異なるニュアンスの「さすが」「すごい」ではあるが。
 情報はもう十分。しかし一番いいネタは、この後ついでに参加した「図書館館内ツアー」にあったのだった。池田先生が実際に読み、寄贈した本が約7万冊保管されているという、通常非公開の「池田文庫」。ここを見学できる希少なツアーに申し込む。参加者約30名が受付に集められ、貴重品以外のバッグ手荷物は預けさせられて出発。信用ねぇなぁ。
 フロアに到着すると、井上靖や吉川英治などの直筆サイン入り本がガラスケースに鎮座している。そこには宇宙飛行士・毛利衛さんの本も。「有名人からの贈本」てことで、ジャンルを問わず文豪も何もかも一緒くた。このざっくり感に、やおら期待感が高まってくる。
 書庫内で数分間の解散となり、各々豪華な画集や高そうな原書に喰らいつく。しかし私が求めているのはそんな本ではない。狭い書庫を歩き回っていると、まるで呼ばれたように迷い込んだ隅の棚にそれはあった。「続続 雑学事典」「『週刊新潮』の内幕」「ひきつける話術~人の心に食い入る魅惑術~」「詭弁の話術」「おしゃれ入門」「異性交際法」……。カッパブックス的ニュアンスの、インスタントなアンチョコ本の数々。フロアの電源を落とされ、あぶり出されるまで粘ったかいありの嬉しい邂逅だった。
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