チュルリョーニス 《ノアの箱舟》 1909年 テンペラ 板絵 国立チュルリョーニス美術館蔵
洪水後の新しい世界は、すぐにはやってきませんでした。水がひいたかどうかを知るために放った鳩が、オリーヴの若枝をくわえて戻って来てから、下船までに数ヶ月かかっています。すっかり水がひき、大地が乾くと、神さまはノアに、家族や動物たちを連れて箱舟から出るよう命じました。
【図1】 「箱舟の下船」 エルフリック 『モーセ六書注解』 イングランド 11世紀 大英図書館蔵
一年間、船にぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのですから、地上に下りたときの嬉しさは格別だったことでしょう。11世紀イングランドのエルフリック注解挿絵の下船のようすは、格別に嬉しそう【図1】。動物たちは感慨深く空を見あげ、鳥たちは一目散に飛び去っていきます(それにしても、ひとや鳥や動物たちはつがいなのに、ヘビだけひとりぼっちなのが気になります)。