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  • [著者]今井舞
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住宅見学会|イマイマイズム見聞録[第8回] 今井舞「新潮45」12年10月号

 65坪の大邸宅!


徒歩移動。ひとり全員分のスリッパを持ち運ぶ、例の新入社員君。
 荻窪にある一軒目の家に向かう道中、同行の3人のメーカー営業マンがそれぞれ挨拶。「生まれが南米で、日本国籍を選択できる最終日の22歳の誕生日に何とか滑り込みで日本人になれた」というエピソードを披露した新入社員の、すべらない落ち着いた話しっぷりが印象的だった。就職難のこのご時世に、大手メーカーに入る若者ってこういうカンジかぁ。なるほどね。膝を打っているうちに荻窪到着。バスが入れない路地裏の家まで、5分ほど歩く。新入社員くんは、見学者全員分のスリッパが入った紙袋など、大荷物を一人で持ち、あとの二人は見学者の誘導だ。たかが細い道数分歩くだけではあるが、小さい子供や年寄りがいて、歩くペースも皆バラバラなので、「後ろから車参ります」「反対側、自転車通りまーす」と、なかなか大変である。そうして「こちらです」とたどり着いた家は65坪の敷地に建つデカい邸宅。ドーン!
 メーカーさんが先に入り挨拶して、ササッとスリッパを並べ、見学者も入場。さすが65坪。十何人で押しかけても玄関は余裕の広さだ。入ってすぐ脇にはシューズクローゼットが。早くも「こういうの便利ねぇ」との声が上がるが。シューズクローゼット作れる敷地の家なんて、そうそうないって。
 築5年、5名三世帯で住んでいるというAさん邸。一階には落ち着いた畳のおばあちゃんの部屋とリビング、二階は各自寝室、三階の大きな吹き抜けのある部屋は子供用と、申し分のない暮らしっぷり。「このように、窓を多く作ってあるので風通しも抜群です」って、この敷地ならそうだろうよ。一通り案内されるが、なんかモデルハウスみたいで現実味ゼロ。窓開け閉めしたりしてみたがな。「こちらの窓枠は樹脂製でして。従来の金属製のものより熱遮断率がよく、冬に結露も出ません」と聞き、それはいいかも、と心が動いたのだが。「こちらYKK製でございます」ってお前んとこのちゃうんかい。
 最後は全員リビングに集合し、オーナーのAさん夫婦を囲んでトークタイム。二人とも50代くらい。ポロシャツにチノパンと普段着だが、その普段着がさりげなくラルフローレン。この日のためにわざわざおろしたのではなく、普段着倒してる感じのラルフローレン。そんな二人を皆で囲み、「ウチに決めた理由、住んでどうだったかなど、忌憚なくお話しください」と司会役のメーカーの人が促す。「値段は正直高かったけれども、納得の出来。とにかく冬暖かく、不満は一つもない」と、まぁ案の定な展開。この家は、「蓄熱暖房」というシステムが導入され、冬でも暖房が要らないほど快適に過ごせる、というのが一番のウリらしい。が、折しも今は真夏。想像つかん。他にも「ここは建て替えで、前は古い日本家屋だったのですが、庭木や池は残したい、という希望なんかにも応じてくださって」つってたが。だからそれ敷地デカいからだって。
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