この後、10分休憩を挟んで、また活躍中の作家のアドバイスタイム。吉岡秀隆っぽい、前髪が長くて線の細い若い男性が出て来て絹を裂くような声で挨拶。いじめをテーマにした作品を書き、ヒット作を生んでいるそうな。
自身がいじめられた経験をもとに、同じ状況の子供を1人でも多く救いたくて、作家を志したという。作品もいじめをテーマとしているものがほとんど。自費出版から始め、作家として一本立ちした今の彼の、「読まれる文を書くコツ」みたいな話を皆期待していたと思うのだが、折しもこの時、大津のいじめ自殺事件がヒートアップの真っ最中。ライフワークでいじめに取り組むこの先生の話は勢い「本を書くアドバイス」から徐々に逸れ、いじめ反対運動について書かれた新聞記事のコピーが配られたりして、「いじめを考えるシンポジウム」みたいな内容に。
まあそれでも、実際に活躍している作家先生たちの話がナマで聞けて、会場の皆さんは満足顔。この後は「個別相談タイム」となるのであるが、相談したい人だけが残ってお開きになるもんだと思っていたら、各自に1人、社員や作家がついてアドバイスされると聞き、にわかに焦る。手元のアンケートには、今どんな話を構想中なのか、詳しく教えろと書いてあるし。躊躇していると、担当の人が近づいて来た。しかも司会やってた一番手練れのヤツ。わー。
しょうがないので、その場でとっさに「本を出したがっているのは私でなく無職の弟。両親は自費出版させたいようだが、費用が皆目見当がつかないので、聞いてこいと言われて来た」という設定を口にする。担当の人は「だから1人テンション低かったのか」と納得したような顔になり、費用に詳しい部署の社員にバトンタッチ。「とりあえず128万円で本は出せる」ということを指さし確認し、説明会を無事後にした。はーやれやれ。
しかしなあ。何か書きたいことがあれば、今はブログなんかでいくらでも表現できる時代なのに。ここまで「本」にこだわり、こうして説明会に来る人って何なんだろう。「この中でブログやってる人?」って質問にも誰も手挙げてなかったし。本を出すつもりの割には取次店のしくみも知らないし。……うーむ。
ネットに疎い「情報弱者」で、でも「自分の話を聞いて欲しい」という鬼の一念は人一倍強い。「自費出版」に反応するのは、そんな共通項を持った人たちなのではないか。そしてそれは、いつの世にも一定数存在する。自費出版とは、そこに付け込んだ、いや、ニーズを絞ったビジネスなのだ。……いつかあなたの街の本屋さんに、彼女たちの本が並ぶかもしれませんね。
なんつってるけど、私も1冊出したっきり、どこからも出版の話が来ない。
あなたの街の本屋に並ぶのは、文芸社から自費出版した、私の本かもしれませんね。
自身がいじめられた経験をもとに、同じ状況の子供を1人でも多く救いたくて、作家を志したという。作品もいじめをテーマとしているものがほとんど。自費出版から始め、作家として一本立ちした今の彼の、「読まれる文を書くコツ」みたいな話を皆期待していたと思うのだが、折しもこの時、大津のいじめ自殺事件がヒートアップの真っ最中。ライフワークでいじめに取り組むこの先生の話は勢い「本を書くアドバイス」から徐々に逸れ、いじめ反対運動について書かれた新聞記事のコピーが配られたりして、「いじめを考えるシンポジウム」みたいな内容に。
商機を逃さないアンケート
しょうがないので、その場でとっさに「本を出したがっているのは私でなく無職の弟。両親は自費出版させたいようだが、費用が皆目見当がつかないので、聞いてこいと言われて来た」という設定を口にする。担当の人は「だから1人テンション低かったのか」と納得したような顔になり、費用に詳しい部署の社員にバトンタッチ。「とりあえず128万円で本は出せる」ということを指さし確認し、説明会を無事後にした。はーやれやれ。
しかしなあ。何か書きたいことがあれば、今はブログなんかでいくらでも表現できる時代なのに。ここまで「本」にこだわり、こうして説明会に来る人って何なんだろう。「この中でブログやってる人?」って質問にも誰も手挙げてなかったし。本を出すつもりの割には取次店のしくみも知らないし。……うーむ。
ネットに疎い「情報弱者」で、でも「自分の話を聞いて欲しい」という鬼の一念は人一倍強い。「自費出版」に反応するのは、そんな共通項を持った人たちなのではないか。そしてそれは、いつの世にも一定数存在する。自費出版とは、そこに付け込んだ、いや、ニーズを絞ったビジネスなのだ。……いつかあなたの街の本屋さんに、彼女たちの本が並ぶかもしれませんね。
なんつってるけど、私も1冊出したっきり、どこからも出版の話が来ない。
あなたの街の本屋に並ぶのは、文芸社から自費出版した、私の本かもしれませんね。
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そっけない案内。しかし、隣のハデなのぼりのフェアよりも、熱いひとときが待っていた。
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この出版社から出された、自費出版で売れた本が並べられている。私には知らない本ばかりだったが。すみません、不勉強で。