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  • [著者]今井舞
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自費出版説明会|イマイマイズム見聞録[第7回] 今井舞「新潮45」12年9月号



 本を出したい、でもそこまでのものは書けない。ああ悶々。そんな人々と、本とを繋ぐ夢の架け橋、それが「自費出版」。
 しかしこの「自費出版」、なかなかうさんくさいシロモノである。新聞等で「あなたの本を出しませんか」なんて広告をよく見かけるが、費用も相場もプロセスも、詳しいことは一切書かれていない。何もかもがベールの向こう。
 そんな、ちょっと都市伝説の感すら漂う自費出版の世界であるが、ネットで「128万円から本が出せます!」と明朗会計を謳う出版社を発見。その名は「文芸社」。
 一応聞いたことある社名だし、出してる本もフツーだし、HPにもあからさまなうさんくさ感はなし。が、こと自費出版になると、「書きたいものがまとまってなくてもOK!」「プロによる執筆バックアップあり」「制作した本は国立国会図書館へ納本」など、ドキドキするようなフレーズが連なっている。各地でしょっちゅう説明会も開催してるらしいし。この自費出版に対するアグレッシブさは何なのか。確かめるべく、同社が開催する「執筆と出版の説明会」に参加することに。

ホワイトボート上はあっさりした印象の進行であるが、その濃密さたるや。
 説明会当日。平日の真昼間、場所はシティホテルの小ぶりの宴会場。会場に入ると、机が会議仕様に並べられ、正面にはホワイトボードが。「スタッフによる出版業界の現状説明」「作家による執筆アドバイス」「個別相談タイム」等々、本日の予定が14時から17時まで3時間、ビッシリ記入されている。
 開始時刻に集まったのは、私も含め計7人。そして全員女性。30代とおぼしき人が2人、50代くらいの人が2人、あとは20代後半が2人。この2人だけ友人同士で、後は個人参加。若い2人組はフリーター風だが、他の皆さんはおしなべてフツーの主婦って感じの風貌。
「定刻ですので始めさせて頂きます」と、若い男性社員の挨拶で説明会開始。参加者が全員女性なのは今回が初めて、緊張しますねー、などと軽くいなして会場をなごませながらも、「今日は執筆のコツを一つでも二つでも学んで下さい」「具体的な話を聞いて行って下さい」と前のめり。集まった人たちも、早くも全員ウンウン頷いている。門外漢は承知で来てるのだが、ハナからのこのノリ。会場と自分との温度差に、ちょっと冷や汗だ。
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