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新幹線「インド輸出」への最後の「ハードル」|「週刊新潮」3月28日号
 3月16日のダイヤ改正から、東北新幹線「はやぶさ」は国内最高速度となる320キロでの運転を始めた。高速で安全、正確な運行システムを持ち、今も進化し続ける“新幹線”。日本の誇るべき財産である。

 それがインドで走る?

――読売新聞1面に〈インド、新幹線採用〉なる見出しが躍ったのは3月10日。5月下旬に来日予定のシン・インド首相との首脳会談で、インド高速鉄道に新幹線技術の採用で合意の見通し、というのだ。

「7路線で総延長約4630キロという高速鉄道構想のうち、先行する西部の大都市ムンバイとアーメダバード間約500キロが対象。これがうまくいけば、他の路線も新幹線となる確率は高い」(鉄道ジャーナリスト)

 先行路線だけでも約1兆円という事業規模。日本は車両や信号、運行システムからなる“インフラ・システム輸出”を目指しており、JR東日本や川崎重工業などが参加するという。なんとも景気のいい話なのだが、

「官民の協力を強化し、情報収集しているところで、具体的なお話ができる段階ではない」(JR東日本)

「合意が固まったという事実はない」(国土交通省)

 と、トーンは低い。実は、インドが決める事業スキームがまだはっきりしていない、というのである。

「それが最後のハードル」

 と指摘するのは、経済ジャーナリストの山崎康志氏。

「売りたい、欲しいという目印の思惑は一致している。が、ヒモ付き円借款で進めたい日本と、借金をせず、民間資金を入れて官民連携でやりたいインドとの調整がついていません」(同)

 インドの言う官民連携となると、参加企業は自ら出資せざるを得なくなるが、

「鉄道は公益事業だけに、インドの国情を無視した高運賃にはできない。それによる長期の赤字というリスクをどうするか、という問題があります」(同)

 ライバルはフランスが誇る「TGV」。今が勝負どころなのである。
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