「護送車」で教習所へ
1時間の昼休みを挟んで、午後イチは、なんと実車研修。バスに乗らされ、15分程先の教習所まで移動。バス内は全員無言でモワンと目が死んでる。携帯を見ないよう、教官がさり気なく見張ってるし。何だか護送車に乗せられてる心持ちで、窓の外に顔が向けられない。
教習所では、一台につき3人が割り振られ、順に10分程度、懐かしの教官を横に乗せてのドライブ。場内には普通の教習中の人達の車も一緒に周回してるのだが、違反者ドライバーの車は、おしなべて走行速度が速く、運転が乱暴なのですぐわかる。教習中のおぼこい車たちは、すれ違う我々にビビって急ブレーキ続出だった。本当に申し訳ありません。
護送車で戻った後は、明日朝イチのテスト(免許取得時に受けるものと同じ)に備えての「ハイここ出ま~す」形式の授業。実際にザキヤマ教官は、これ何度も口にしていた。「シートベルトは後部座席も義務」「チャイルドシートは6歳未満まで」と、昔に免許取得した人間は意外と知らないルールが伝授されて行く。
しかしここでまた事件が。お笑いコンビ野性爆弾のくーちゃんこと川島邦裕にそっくりの、スカジャン着た30歳くらいの男性が、手を挙げて「6歳未満って、5歳なんじゃないスか?」と質問したのである。未満の概念がわかってない。ザキヤマの「5歳と11カ月の子も、含まれるんだねッ」という噛んで含めた説明で、ようやく理解し引き下がった。「どっきり」なのかと、思わずカメラ探しちゃった。
その後「事故は被害者だけでなく、あなたの人生と家族をも破壊するのです」てな脅しビデオを見させられ、初日は終了。はーやれやれ。
翌日は集合して即試験なのだが、直前にざっとおさらいが。ふと周りを見ると、教科書に付箋つけたり、線引いたりしてる人が結構いて、皆深刻な顔してる。何故かふと頭の中に、映画「ザ・カンニング〔IQ=0〕」のタイトルが浮かんだ。
ま、そんな思い悩むほどのテストでもなかったが。しかしテスト終盤、またくーちゃん事件が。「『事故後は、負傷者を救護し、速やかに警察に連絡する』ってこれ、×でしょ? 救急車を先呼ぶべきでしょ?」と教官に喰らいついている。テスト中なのに。これにはさすがのザキヤマも「深く考えず、自分で判断、ねッ」と困り顔。また「どっきり」なんじゃないかと、野呂圭介探してしまった。
テスト後は、初日にやった件の「運転適性検査」の結果が各自に配られる。あんなテストで、何がわかるんだかよくわからんが「あなたは『とまどい型』です」なんて細かく性格判断が書かれていて、占いみたいで皆ちょっと釘付け。ちなみに「攻撃性」は、一番安心レベルの「5」であった。毒舌と呼ばれる私であるが、性格は結構穏やからしい。ふむ。
もうすることないだろ、と思うところだが、ゲームセンターのドライブマシンのような装置を使った「シミュレーター運転」や、視力検査など、ただ違反者の時間を奪う為だけの嫌がらせ授業が続き、午後2時、ようやく終了。受け取った書類には「優・30日短縮」の印が。ふう。具だくさんの二日間がやっと終わった。
今頃、くーちゃんもカンカン帽もツナギもフリースも、堂々と公道を運転してることだろう。もらい事故にはことさら気を付けたい。あと、結論を言えばこの講習、キムタクは受けてないと思う。待ってれば免許は返って来るから。
受けた人と受けてない人の間には、深くて暗い川がある。それが免停処分者講習。あそこに座ったら、ある意味人間おしまいかもしれない。
お母さんごめんなさい。