話題

  • [著者]今井舞
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アムウェイ・プラザ東京|イマイマイズム見聞録[第1回] 今井舞「新潮45」12年3月号


一階のフロアで開催されていた空気清浄器の講習会。「ウイルス99.9%以上除去!」だと。何を根拠に。空気清浄器って、このテの空間に映える鉄板なアイテムであるな。


 躊躇してても仕方がないので中へ。入ってすぐ、受付嬢が二人座る受付カウンターが。横には警備員も立っている。入ったら即、そこに呼び止められるのかと思ったが、特段そういう空気はなし。そのまま真ん中に進み、フロア全体を見渡す。大きな体育館くらいある広々した場内には、ざっと見て50人くらいの人が。
 中央にデパートの化粧品売り場のようなメイクお試しコーナーがあり、女性客が口紅などを試している。外から賑わって見えたのは、ガラスに面したラウンジ部分。4人座れる円卓が20席程。それが数卓残してほとんど埋まっている。2、3名のグループで書類を囲んで商談真っ最中、みたいなテーブルもあるが、ただまったりしているグループや、一人客も多く、客層も雰囲気もファミレスとそう変わりない。ただびっくりしたのは中国人の多さだ。ラウンジを含め、館内客の2、3割は中国人。それもほとんど若い女のコ。勝手知ったる、というカンジで中で落ち合い、グループでおしゃべりに興じているさまは、まるでどっかの学食のよう。アムウェイに占める在日中国人の多さについては、今後の研究課題としたい。
 奥にある商品を実際に買える販売コーナーには、サプリや食品、洗剤(王道!)が並び、レジで普通に買う人がひっきりなしに訪れている。各コーナーには説明係とおぼしき人間がおり、ここで捕まるのかと身を固くしたが、これまた全くその気配はない。鼻先で値札をじっくり眺めていても声掛けナシ。しかし値札には必ず3つの値段が表示されている。怪しい。例えば750g入りの粉末洗濯用洗剤なら「DC:640円、MP:700円、標準:800円」という具合。「さっぱりわからないわぁ」という顔をして眺め続けるも、無視に近い放置が続く。仕方なく、自分から近くの係員に「コレ、普通の人が買うとこの『標準』の値段ってことですよね?」と尋ねると「そうですね」とにべもなく会話終了。「会員になるとこの安い値段で買えるってことですか?」と、もひとつ丸腰で突っ込んでみると「……お客様、どなたかの紹介ですか?」と怪訝な表情で返される。来た来た。逸る心を抑え、なるべくキョトン顔で「いいえ」と答えると、「こちらは、どなたかの紹介を受けて会員になっていくシステムでして」。予想していたよりも短い返し。「ご存じなければあちらで」と、丁寧だがアゴをしゃくられる形で、メイクコーナーと売店の隙間に埋もれるようにひっそり存在する「サービスカウンター」行きを勧められる。
あわせて読みたい関連記事
  • RSSフィード
  • メールマガジン登録
  • 第二孫誕生で華やぐその後の「勘三郎家の人々」|「週刊新潮」6月6日号

    話題

    第二孫誕生で華やぐその後の「勘三郎家の人々」|「週刊新潮」6...

  • 「あってはならぬもの」の世界――【書評】鈴木裕也/『漂白される社会』開沼博|「新潮45」2013年5月号

    話題

    「あってはならぬもの」の世界――【書評】鈴木裕也/『漂白され...

  • 「露出した格好だとちかんにあいやすい」はウソ!?|『身近な危険から自分を守る! ゆるサバイバル入門』

    話題

    「露出した格好だとちかんにあいやすい」はウソ!?|『身近な危...

  • 【書評】「国を守る」とは何か――山本一郎/私の名作ブックレビュー|「週刊新潮」5月30日号

    話題

    【書評】「国を守る」とは何か――山本一郎/私の名作ブックレビ...

  • ミラノで喝采浴びる「北斎」から「翼」まで|「週刊新潮」5月30日号

    話題

    ミラノで喝采浴びる「北斎」から「翼」まで|「週刊新潮」5月3...

  • 鹿児島県・鶴嶺神社|ゴリヤクゴリヤク!~編集部員Sが行く、幸せになる神社めぐり~

    旅・街歩き

    鹿児島県・鶴嶺神社|ゴリヤクゴリヤク!~編集部員Sが行く、幸...

Copyright © SHINCHOSHA All Rights Reserved. すべての画像・データについて無断転用・無断転載を禁じます。