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26 燃える柴 「モーセの生涯〈2〉」|キリスト教美術をたのしむ 金沢百枝


「雹と蝗」 『パンプローナの聖書』 パンプローナ 1200年頃 アウグスブルク大学図書館蔵
「雹と蝗」 『パンプローナの聖書』 パンプローナ 1200年頃 アウグスブルク大学図書館蔵

 モーセはエジプト生まれ。紀元前13世紀頃の人とする説があります。「出エジプト記」によれば、当時のエジプト王はイスラエルの民を奴隷とし、重労働を課していました。奴隷の人口増加を防ぐため、生まれた子が男子の場合、ナイル川に捨てるよう命じてもいました。モーセも生後3ヶ月のとき、ナイル河畔の葦の茂みに捨てられます。しかし幸運なことに、川に水浴びに来たファラオの王女がモーセを拾い、育てたのです。

【図1】 「ナイル川に捨てられるモーセと拾われるモーセ」 『道徳聖書』 13世紀 ウィーン国立図書館蔵
【図1】 「ナイル川に捨てられるモーセと拾われるモーセ」 『道徳聖書』 13世紀 ウィーン国立図書館蔵

 これは、モーセの生涯のなかでも人気の場面で、3世紀、ドゥラ・エウロポスのシナゴーグ壁画が最古の作例です。【図1】は13世紀の豪華写本『道徳聖書』の一葉。左はモーセの両親が泣く泣く我が子を捨てる場面。流されないよう葦の間に置いています。右がそれを見つけた王女さま。遠くでこっそり見ていたモーセの姉が「姫さま、この子には乳をやる乳母が必要ではありませんか」と歩み出て、実母を連れて来たので、モーセはファラオの宮廷にいながら実母とともに育ちました。

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