矢来町ぐるりとは？

　パリの高級住宅街16区。閑静なエリアにあるこの店は、「贈って必ず喜ばれるお誕生祝い」の代名詞として戦後からずっと支持されてきた。カーラ・ブルーニ大統領夫人が出産したときは、友人マダム達がこぞって訪れ、夫人の赤ちゃんへのお祝いを買い求めたそうだ。名前が入れられる上質なリネンや雑貨、衣類などは一生とっておきたいものばかりだ。また、熟練技が必要な手刺繍を施した洗礼用のドレスは、うっとりするほど美しい。
　Ｓ・セバーグさんは6年前からここのアートディレクターを務めている。創業時のクラシカルなテイストを生かしながら服のデザインをするそうだ。たとえば新生児用のシンプルなニットは、ほんの少しのぞいた繊細なレースがたまらなくチャーミング。すでに淑女の気品さえ漂っているのだ。「なんてかわいいの、うちのベベ（赤ちゃん）に着せたいわ！」とママたちは思わず手にとってしまう。
　クローゼットに吊るされたどの服も微笑まずにはいられない。それらは幸福の象徴のように輝いてみえる。