旅・街歩き

  • [写真]三谷浩(みたに・ひろし)[コーディネーター]中村水帆子
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[植物療法薬局]1880年から続く、自然派薬局|夢があふれるパリの専門店




 扉を開けた瞬間、薬草の香りに包まれた。日本であればさながら漢方薬局の趣。カウンター前に並ぶ人々は、自分の番が来ると薬剤師に気になる症状を細かく伝えている。「最近胃がどうもすっきりしないんだけど」、「肌のトラブルがなかなか治らなくて」。左側の壁一面には効能別の薬草茶を入れた紙の袋。右側の壁には茶色い薬瓶や軟膏用のジャーがずらりと並ぶ。薬剤師は、ひとりひとりと丁寧に会話をしている。


 フィトテラピー=植物療法は、古代エジプトから発祥し、のちにヨーロッパやインドへ伝わっていった。植物の持つ薬理作用を使って治療へと導くというものだ。フランスでは1700年代には医療として取り入れられていた。この薬局が創設されたのは1880年のこと。
「内装は昔のままですよ。パリではいちばん古いエルボリストリー(薬草を扱う薬局)になります」
 と、オーナーのラヴノー先生。ビオロジストの肩書きとともに、彼は西洋医学の医師でもあるので、両方の観点からどんな処方や処置が適しているかを判断することができる。また、世界各地の薬草の効能についても、生息地を度々訪れて深く研究している。


「いまうちで扱っているのは1000種類以上の薬草です」
 100%自然のものを用いる、というのが鉄則。実は89年までは国の認可を受ける医療のひとつだったが、それ以降は民間療法というくくりに入ってしまったそう。けれどケミカルなものより植物の力を、と考える多くの人々からいまも根強く信頼されている。東洋医学が身近にある私たちにはよく理解できる話だ。
 ところでこの薬局、旅人でももちろん処方してもらえる。ビストロで食べすぎた? はい、抜群の薬草茶がありますよ。








● 87, rue d’Amsterdam 75008
● TEL:01-48-74-83-32
● 営:10:00(月は11:00)~13:00、14:00~19:00(土は18:00)
● 休:日、祝
● カード:MASTER、VISA


●1ユーロ(€)=約98円(2012年1月現在)●電話:日本からは010(国際電話識別番号)のあとに33(フランスの国番号)をつけ、市外局番のはじめの0をとった番号にかけます。01 23 45 67 89ならば、010 33 1 23 45 67 89となります。●掲載されたショップの営業時間や料金、定休日などは変更になる場合があります。
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