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東大「ミドリムシ」はODA背負って「バングラ」へ|「週刊新潮」2月21日号
 1998年。東京大学の1年生が学外活動の一環でバングラデシュを訪れ、そこで見たものは、貧困と飢餓だった。
 彼はその2年後、ミドリムシ(ユーグレナ)と出会う。動物と植物両方の性質を持ち、59種類の栄養素に恵まれたミドリムシを食糧問題の解決に役立てたいと、屋外大量培養に挑戦。2005年8月に株式会社ユーグレナを設立し、同年12月には、世界初の大量培養に成功したのだった。
 現在では食材としてだけでなく、高い光合成能力を生かしたCO2の吸収、さらにバイオ燃料の原料としてミドリムシの注目度は高い。同社は昨年12月20日に東証マザーズに上場したが、
「売り出し価格は1700円でしたが、初日は買いが殺到して取引が成立せず、2日目に3900円で成立。以後株価は上がり、今は1万4000円前後で推移しています」(経済部記者)
 だが、彼……出雲充社長(32)の起業の原点は、バングラデシュの飢餓である。その解決という“夢”に一歩近づいたのが、ODAの案件化調査だった。
「外務省は今年度から、ODAを活用した中小企業の海外展開支援を始めましたが、その“案件化調査”に、ユーグレナの“母子保健事業案件化調査”が採択されたのです。やはり12月のことです」(外務省担当記者)
 対象国はもちろんバングラデシュ。栄養改善や乳幼児死亡率の削減を目指し、現地の食習慣でミドリムシをどう活用するかについて、
「担当者はもちろん、出雲本人も現地に行って調査しました」(ユーグレナ広報)
 創業以来の目標が、いよいよスタートしたのだ。出雲社長は言う。
「バングラデシュをはじめとする栄養が不足している国に、ユーグレナを届けることで、世界の食糧問題の解決に役立っていけるよう日々取り組んでまいりたいと思います」
 東大発のミドリムシがバングラを、そして世界を駆け巡ることになる。
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