食・暮らし

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41 断酒日記|能登 ごはん便り 赤木明登+赤木智子
 体はいいのだけれど、心の方がちょっといけない。お酒に対する精神的な依存度が強いのだ。夕方になると、とにかく飲まなくてはいられない。もともと人に対面することや、人と話をすることが苦手なので、ついつい酒の力に頼ってしまう。飲んで寝ると、数時間で酔いとともに眠りからも覚めてしまう。とびきりの悪夢を見る。目が覚めてからは不安で眠れず、また酒を飲み始める。休みの日があれば、朝からビール、昼にワイン、夜はいつもの通り。そんなのはダメだからね、ちゃんと自分を律する方法を学びなさい、ということに相成った。トホホ、人生とは不自由なものである。

二月一日
じつは、このプログラムは五年ほど前からこっそりやっていた。だから、二、三日間は、特に我慢することもなく平気なのだと知っている。ただ、今年からちょっと方針を変えてみた。お客さんが多い家なので、お客さんが来てしまって、僕だけが飲まないのは失礼だからと、おつきあいで仕方なくというか、喜んで飲んでいたので、その度に禁酒も中断。つまりは、飲みたくなると次々人を家に呼びつけては、結局飲みつづけ、何をやってんだかわからなくなる。なので、今年からは人が来ても飲まないと、自分で決めた。もちろん、いつでも飲みたいが、自分の意志で飲むか飲まないかは決めることができる。

二月三日
風呂上がりにビールを飲まない練習。外は雪。熱い風呂に入る。あがって、すぐに冷えたビールをクイッとやるのはNG。仕方がないので、自動販売機でコーラなる物を買ってみた。やけくそで、ペットボトル一本飲む。普段飲んだことがないせいか、あとで無茶苦茶お腹をこわす。こっちの方が、身体に悪いんじゃないか?

二月四日
お酒なしで寝る練習。しかし夜なかなか寝付けない。無理矢理寝ていると、頭痛がしてきた。酒を飲まないと、頭が痛くなるなんて、変じゃないか。

二月五日
朝から体調が悪い。やっぱり、禁酒は、身体に悪いんじゃないだろうか。

二月六日
夕方になると、飲んでないのになんだか酔っぱらったようになる。身体の芯にアルコールが染みこんでいて、それが滲み出してくるのか。それとも、時間帯でこういう癖になっているのか。

二月七日
酒を飲まずに酔っぱらいの話を聞く練習。この春で工房から独立する予定の杉田くんの家に呼ばれる。奥さんの美穂ちゃんの手料理を馳走になる。いつもなら僕もさんざん飲んで、大激論になったりもするのだが、本日僕は帰りの運転手。トモコさんと杉田くんたちに飲ませて、酔っぱらいの馬鹿話、いえいえ将来の希望と不安についてうかがい、相談にのる。こういう話を真面目に聞くのも、わりと面白いじゃないか。

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