食・暮らし

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おやつ(大学芋/自家製ドーナッツ/ゆであずき)/高橋みどり――『沢村貞子の献立日記』より
沢村貞子の献立日記
高橋みどり、黒柳徹子、山田太一、笹本恒子、ほか
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おやつ

「食事は一日二回だけ」という沢村さんの言葉で、ようやく「おやつ」の意味がわかりました。というのも、おやつの欄だけ見ていると、甘いものにかぎらず、麵類なども多くて「おやつなのに……」という疑問があったからです。基本は2食、と控えめにしていたからこそ、あのしっかりとした晩ごはんがおいしく食べられたのでしょう。
 おやつは和菓子に緑茶、ケーキに紅茶など、目先が変わるように工夫されています。ご主人はあずきが好物だったとのことで、おしるこにゆであずき、小倉パン、あんみつ、あんまん……などなど、いろいろ出てきます。
 私の子どものころの特別なおやつも、母といっしょに作る「白玉あずき」でした。食べながら「あっ、これは私の作った白玉だ」と発見するのが楽しかったものです。白玉づくりは水加減がとてもむつかしくて、母のようにうまく作れるようになりたいと思っていました。
 沢村さんも白玉の作りかたについてふれながら、「計量カップもスプーンも使っていなかった母から、こうしてものの加減を仕込まれた私は、いまだになんでも目分量、手加減で料理する癖がついている」と書いています(「目秤り手秤り」『私の台所』)。
 沢村さんが作るおやつで、たびたびアンコールとなったのは、昔懐かしい大学芋。できたてのおいしさは格別で、「こしらえるそばから食べれば、とにかく美味しい」(「大学芋のすすめ」私の台所』)。
「献立日記」に登場する自家製ドーナッツも、揚げるそばから……のクチでしょう。私の子ども時代の定番おやつもまた、蒸したさつま芋、蒸しパン、そして揚げドーナッツにふつうの上白糖をまぶしたものでした。母が生地を作っているあいだに、大きさの違う「わっか」(ドーナッツを抜く道具)を探すのは私の役目。茶筒の蓋が薄くてカットしやすかった。ドーナッツの中心の穴の部分は、余分なところだけれど、揚げると膨らみ、まんまるになる人気もの。
 母のそばでいろいろ手伝いながら自然に覚えたことって、いま思えば、大切だったんだなと感じます。


大学芋

材料
さつまいも……1本
揚げ油……適宜
はちみつ……大さじ2
黒いりごま……少々


作りかた
1
さつまいもは皮のまま洗い、ひと口大の乱切りにして水に5分ほどさらして水気をふく。
2
揚げ油を中温に熱してさつまいもを入れて火をやや弱めて5分ほど、竹くしをさしてスーッと通るまで揚げて最後に油の温度をあげてかりっとさせて取り出す。
3
大きめのボールにはちみつをいれ、(2)のさつまいもをいれてからめるようにして混ぜ、ごまをふる。

自家製ドーナッツ

材料(8個分)
薄力粉……250g
ベーキングパウダー……小さじ1
玉子……1個
グラニュー糖……40g
牛乳……60ml
溶かしバター……30g
強力粉……適宜
揚げ油……適宜


作りかた
1
薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるう。
2
ボールに玉子をほぐしてグラニュー糖を入れて泡立器でしろっぽくなるまで泡立て、牛乳、溶かしバターを入れて混ぜ、薄力粉を加えてさっくりと混ぜてひとまとめにして冷蔵庫で30分ほどねかす。
3
強力粉で打ち粉をした台に生地をのせて、めん棒で1.5センチほどの厚さにのばして、ドーナッツ型でぬく。
4
揚げ油を中温に熱して(3)を4個ほど入れて、ドーナッツの穴に菜箸を入れて廻しながら、形作り、途中、裏に返してかりっと揚げ、残りも同じように揚げる。
5
あら熱がとれたら、砂糖(分量外)をまぶす。

ゆであずき

材料
あずき……1カップ
水……2~3カップ
グラニュー糖……60~100g
塩……ひとつまみ


作りかた
1
あずきは洗い、鍋に入れて水を加えて中火にかけ、煮立ってきてアクがういてきたら、ザルにあげてゆで汁をきり、鍋にもどしてあらたに水2~3カップを加えて中火にかける。これを2回ほどくり返す。
2
鍋にあずきを入れて2~3カップほどの水を加えて中火にかけ、煮立ってきたら火を弱めて20分ほどゆでて、火を止めてそのまま冷めるまで置き、余熱で火を通す。
3
(2)にグラニュー糖の1/2量を入れてふたをして中火にかけ、煮立ってきたら弱火で5分ほど煮て、残りのグラニュー糖、塩を入れて10分ほど煮てそのまま冷す。

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