食・暮らし

  • [著者]小澤典代(HP:fu-chi.net)(),[写真]森隆志
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かご好きたちの、素敵なかごづかい/日本のかご―えらぶ・かう・つかう―



 静岡県沼津市にある「hal」は、暮らしまわりの雑貨や器、衣類などを扱う店です。もののセレクトをしているのは、店主である後藤由紀子さん。彼女のセンスは同世代の女性から大きな支持を集めていて、そのスタイルは憧れの的でもあります。
「頑固なほど、好きなものは昔から変わらない」と語る後藤さんの好きなものとは、日本のものです。ほとんど外国に行ったことがないという後藤さん。自分の生きてきた経験の中から育んだ“ものを見る目”には、嘘がなく、そして背伸びをしている様子もありません。店に並ぶのは、妻であり、母であり、働く女性として生きる彼女の、リアルな視点で選ばれたものたちです。同じように日々を生きる女性から、大きな人気を得られることは店を見れば明らか。
 そんな後藤さんも、日本のかごをこよなく愛するひとりです。店に置く商品選びと同じように、私生活でのもの選びも、じっくり時間をかけて行われているのが伝わってきました。どのかごにも、気に入った理由や背景が必ずある。ただ何となく選んだ、という曖昧さがないのです。どうしても好きになってしまったら、売りものでなくても粘り強く交渉する。自ら頑固と語る後藤さんらしさが、かご選びにも発揮されていて、微笑ましい。
 後藤さんが好きな日本のかご。その理由を尋ねました。
「日本のかごには真面目さを感じます。他所の国のものをたくさん見ている訳ではありませんが、ラフなつくりのかごもあったりしますよね。仕事の丁寧さとか、そういう部分は日本のかごに強く感じます。均一な編み目とか、自分の性分にも合っているんですね」。
 好きなものに正直で、揺れることなく愛し続けること。その結びつきの深さが、後藤さんとものの間には存在しています。じっくり選んだ日本のかごも、彼女の暮らしの一部となって、忙しい毎日に彩りを与えています。









hal 器と雑貨
● 〒410-0803 静岡県沼津市添地町124
● TEL:055-963-2556
● 営:日~金 open 10:30 ~ 15:00
● 休:土曜・第3日曜
● HP:http://hal2003.net/

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