作家の石田千(いしだ・せん)さんと、
東京下町銭湯・居酒屋の最初の
取材をしたのは、
あの大地震の翌週のことでした。
千さんの作品には下町の風情を
描いたものが多く、
ご本人も下町が大好き。
下町のグルメにも目がありません。
写真は、北千住の「大黒湯」で
ポートレイト撮影中の千さんです。
さて、正直、地震の直後に「取材は延期せざるをえないかなぁ」と思っていましたが、数日後に千さんから「取材、予定どおりですよね」とのメール。非常事態にも平常心で、ふつうの生活を続けること、これが千さんの一貫した姿勢でした。そんな千さんの強さに支えられて、「石田千さんの東京下町銭湯経由居酒屋巡り」(「旅」2011年7月号)はできあがりました。その一部をご紹介します。
【上野】
ところで撮影隊は元気に町を歩きはじめたものの、震災の影響で、お店の取材が困難になったのも事実です。誌面でも紹介した上野御徒歩町のインド料理店「アーンドラ・キッチン」は、食材が手に入らなくなったため、5月上旬まで休業していました。
「洋食さくらい」はビルの7~8階にありますが、食事の途中で余震が来ました。免震構造のビルだったので、とてもよく揺れました。身体がぐるんぐるん回されたような感じで、生ビールの酔いがいつもよりはやくきました……。
「洋食さくらい」のメニュー。
オムレツは、卵がふっくら、お腹にはわりとどっしり。
本誌に写真掲載ができなかった、かりんとうやさん「花月」。
こちらではいつもと変わらず
黙々と、お店の方がかりんとうを
袋に詰めていらっしゃいました。
◆そのほか、上野で千さんお勧めのお店は、こちらです。
大凧(おでん)
岩手屋(居酒屋)
うさぎや(和菓子)
【神楽坂】
神楽坂の「熱海湯」の向かい側には、八百屋さんがあります。かつて神楽坂で仕事をしていた経験のある千さんは、よくこの八百屋さんで買い物をして帰ったそう。季節のお野菜が出ていたりします。
「トキオカ」の店長さんとはもう長いおつきあいとのことで、取材はなごやかな空気の中で進みました。
◆そのほか、神楽坂で千さんのお勧めのお店は、こちらです。
コルク(ワインバー)
ビアバービター(ビール)
お腹袋(和食)