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新法王「フランシスコ」に2つの横槍|「週刊新潮」3月28日号
 13世紀のイタリアの聖人フランシスコは、イエスの「私の倒れた家を建て直せ」という言葉を聞いて以後、貧しい人々の救済に身を削ったという。この聖人から名をとった、アルゼンチン出身の新法王、フランシスコ(76)に期待されるのも“再建”である。

 本命不在のため、長期戦の根比べが予想されていた。しかし、3月14日、新法王を選ぶ「コンクラーべ」は早々と5回目投票で、選出。

「改革派と現状維持を求める伝統派の両方から支持を得て、最終投票では全ll5票の内、90票を獲得した。カトリック信者が最も多い中南米から選んだのは、教会の危機感の表れで、法王の両親がイタリア移民だったことが、抵抗感を和らげたのだと思います」(特派員)

 約1300年ぶりの非欧州出身、初の南米出身の法王である。世界中のメディアが〈庶民派〉などと好ましいエピソードを報じた。

「移動はバスや地下鉄を好むそうで、選出後、サンピエトロ大聖堂のバルコニーに姿を現した時も、儀式用の赤マントではなく、白の地味な服装で驚かされました。法王として初のミサでもラテン語でなくイタリア語を使用したのです」(同)

 滑り出しは順調と思われたところ、横槍が入った。19日の就任ミサに台湾の馬英九総統が参列することに、中国が噛み付いたのだ。

「バチカンは1951年に中国と断交し、ここでは“チャイナ”とは台湾を指します。そこで中国は折にふれ、バチカンに対して台湾との関係断絶を迫り、宗教事務を名目にした内政干渉をやめるように求めているのです」(同)

 法王の母国でも、ある疑惑が再燃。軍事政権が市民を弾圧し3万人が死亡、失踪した「汚い戦争」(1976~83年)への関与である。

「法王がイエズス会のアルゼンチン管区長だった当時の話ですが、解雇した司祭2人も身柄拘束され、拷問の被害に。法王庁側は、人々を救うために尽力した、と火消しに必死です」(同)

 カトリック教会は、聖職者の性的虐待疑惑やバチカン銀行の不正などの相次ぐスキャンダルによる信者の減少に悩む。信頼を回復し、倒れかけている教会を建て直す重責がのしかかる。

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