食・暮らし

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柚子のかおり|能登 ごはん便り 赤木明登+赤木智子



 寒くなると、輪島のお菓子屋さんの店先に、「水羊羹」が並び始める。
 えー。冬に「水羊羹」?
 はじめは私も戸惑って、もともと「水羊羹」自体が得意な方ではなかったので、なんでまた冬にも食べるかなあと、輪島の人びとの気が知れなかった。

 子どもの頃から、お茶とおせんべいが好きだった。あんころ餅よりみたらし団子がいい。お饅頭や最中などは、皮の部分をちぎって、少しだけ餡子がくっついているくらいがいい塩梅だと思っていた。餡子の入った草餅なんかは、お醤油をつけて食べていたのだ。ところが、歳を重ねるということはふしぎなもの。餡子や和菓子が年々好きになってくるのだから、あら不思議。

 輪島の朝市で売っている「えがらまんじゅう」。とにかく。朝市に買い物に行く度に、魚を捌いてもらっている隙に、「えがらまんじゅう」を買って、店の中に座っては、セルフサービスのお茶と一緒にこの蒸したてのまんじゅうをほおばることにしている。餡の入ったお餅のまわりにクチナシで染めたという黄色の餅米がくっついている。これが栗の「いが」に見えることから、なまって「えがら」という名前になったらしい。程よい甘さ。お餅と餅米のつぶつぶの食感も相まって、何度食べても「おいしいなあ。」とついつい呟いてしまう。

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