いよいよ寒くなって来て、箪笥の底から、必殺あったかグッズを引っ張り出す。下半身は大事ですから、あの手この手で暖めなければ。去年から、アルパカの靴下とスパッツを手に入れて、綿の靴下やタイツの上から重ね履きして「これ、最強じゃん!」と、ひとりでガッツポーズをして喜んでいる。
こんな季節になると、お寺の奥様からお声が掛かるのが、「報恩講」のお手伝い。実は「報恩講」のことなど、未だにさっぱりよくわからない。
東京から私たち家族が、ここ奥能登の、山里の小さな集落「内屋」に越して来て、はや二十四年になる。そもそも、この集落に移り住むことができたのも、お寺の御院主さまと奥様のおかげなのである。であるからして、「トモコさん。あんた、○○日にお餅切り、手伝いに来てくれんかねえ。頼むねえ。」などと、お寺の奥様からたのまれると、何のことやらさっぱりわからないけれど、断る訳にも行かず、出掛けて行くことになってしまったのだった。それから二十四年。もちろんお手伝いに行かれない年もある。