英語がからっきしできない。年に一度は外国で展覧会などがあり、言葉は道具として必要なのだが。それで仕方なく、こんな田舎町にも派遣されている外国人英語教師などをとっ捕まえて、何年もプライベートレッスンを試みたが、ついでに参加させている子どもたちがピューって上達して、あっという間に僕を置いてけぼりにした。英語で話すと、「オレ、ハラヘッタ。メシクレ。ウマイ、ウマイ、コレ。ソレ、ナンダ? クイモノ、ヨコセ!」的な、どうにも頭の悪そうな自分になってしまうのが耐えられない。これは、外国語能力が本来的に備わっていないせいだと、とうにあきらめてしまった。
最近は、どこの国からお客さんが来ても、岡山弁で通すことにしている。僕は能登弁と岡山弁のバイリンガルだが、生まれ育った地方の言葉できちんと話した方が、下手な英語よりもちゃんと伝わるということがわかったから。言葉にこもる感情で勝負するのだ、なんてね負け惜しみ。でも、「漆はのぅ、人と森の関係を象徴的に表現しとんじゃが」と真面目に言えば、ちゃんと伝わるのだ、本当に。