食・暮らし

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お正月のしあわせ|能登 ごはん便り 赤木明登+赤木智子


 年の暮れ、赤木家恒例の餅つき大会。今回は、人数がすこし少なかったからだろうか。なんだかスムーズに、事が運んだような。そんな気がしただけかしら。そうだ、いつもと違うのは「おでんくん」。秋にダンナが買ってくれた、業務用おでん鍋「おでんくん」。おかげで、ずいぶんと宴会準備も楽ちんになったのだった。

 大人の人数は確かに減ったけれど、弟子たちが遠慮無しにつぎつぎ赤ん坊を産んでくれるので、チビッコ率は年々高まっている。だから餅つき大会に、雪合戦が混じり、酔っぱらいのおじさんおばさん達も、負けじと食べたり飲んだり踊ったり。何とも賑やかに、年が暮れていくのである。

 肝心のお餅つき。こちらの方も年々要領が良くなって、六臼分、十二升の餅米が、順番どおりに蒸篭(せいろう)で蒸され、次々につき上がる。餅板に載せてもらった、つき立てのお餅を丸めるのは、女子チームの役割。待ってましたと、あっちからもこっちからも手が伸びて、ワイワイ言いながら、あっという間に可愛い丸餅がたくさん出来上がる。玄米餅に、豆餅、丸餅、お飾り餅。そして、つき立てのお餅をちぎっては、みんなでいただく。きな粉餅に、チビッコ達はかぶりつき、甘党のおにいさんは、ぜんざいにニッコリ。醤油をからめて海苔で巻いたお餅はすぐさま売り切れ。大根おろし餅は、お酒のつまみにと、これまた人気だった。

 みんなで、美味しそうに、笑いながら、お餅を食べている。これを見ているだけで、私は胸がいっぱいになってしまう。ただこれだけのために、一年間頑張って来たような、そんなじんわり嬉しい気持ちで胸がいっぱいになってしまうのだ。

「よおし。次の餅米が蒸し上がったぞう。」

 ダンナの一声に、みんながおーと立ち上がる。



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