東京で暮らしていた頃は、銀杏と言えば、街路樹か公園に植えてあるものと思っていた。
能登に来て、初めての秋。山にひと際、凛と輝くような黄色のかたまりを見つけて、驚いたのを覚えている。まだ紅葉していない周りの広葉樹や、濃い緑の針葉樹の中に、燃え立つような美しい黄色である。山の銀杏が、こんなに美しいとは、知らなかったのであった。
それから毎年、秋の始まりの楽しみのひとつになった。山の銀杏の木。
今年はと言うと、秋がなかなかやって来ないご様子。どうしたものでしょうか。キノコ採りのおじさん達は、周りでうろうろモジモジしております。でも。十一月に入ってやっと、冷たい雨が降るたびに、やっぱり秋はすこしずつやって来ました。