「今年の秋はどういう訳か山のキノコが一本も出てきません。僕は空の篭を背負って森の中を彷徨うばかりです。でも秋にはやはり実りがなければ…」という書き出しの手紙を添えて、展覧会の案内状を発送したのが十月十日。いつもの年だったら、キノコ採りシーズンのまっただなか、一人で小躍りしながら、山中を駆け回っているはずなのに。どうも、この秋は調子がおかしい。秋の茗荷がなかなか出てこない。と思ったら、トマトが夏から未だに実を付けつづけているし、茄子だってでっかいのがブゥラブラのまんま。唐突に寒くなって、薪ストーブを焚き始めたら、翌週には夏のよう。地球が、どっかでダッチロールしてるんじゃないか。