食・暮らし

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菜っ葉の底力|能登 ごはん便り 赤木明登+赤木智子


 今年の山は、ヤマボウシの山。雨が降るたびに緑がまりまりと濃くなって、四方八方どこを向いても緑に覆い尽くされて、空気までも緑色になってしまったかのよう。雪が溶けてからと云うもの、毎年順番に山の花が咲き始める。前の年の天候に因るのか、コブシの花がたくさんの時もあれば、藤の花が咲き乱れる年もある。そして、今年はヤマボウシがひと際美しい。それはまるで花嫁衣装のようで、様々な緑色の山の中に溢れるように、こんもりと白い花が咲いている。あっちにもこっちにも。

 毎年春がやって来ると、待ってましたとばかりに、村中のおばあさん達が家から繰り出して来て、畑をはじめる。それを見て、ウチのダンナも家から、のしのしと出て来たかと思うと、畝を耕し、草を取り、種を蒔き始める。
 まず。雪の下で、大きくなりきれなかった、レタスが四種、きれいに植え替えられる。その後三ヶ月はこのレタスの葉っぱを食べ続けることが出来るのだから、たまげたものだ。レタスだけでなくすべての葉っぱに言えることなのだが、大きくなった一番外側の葉っぱから、せっせと採って食べていくのだ。そうすると、次から次へと内側の葉っぱが大きくなり、終いには、薹が立って花が咲き始めるのだけれど、その菜の花のような蕾の付いたところまでポキンと折って、おひたしにして食べちゃう。すべての物を余すこと無くいただく感じである。
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